2009年1月8日木曜日

紅白42%

低迷傾向にあったNHK紅白歌合戦。昨年は後半の平均視聴率(ビデオリサーチ調べ)が、関東地区42.1%、関西地区41.6%と関東で3年ぶり、関西で5年ぶりに40%台を回復した。仕掛け人の異色チーフプロデューサー、石原真氏(51、顔写真)を直撃、紅白の舞台裏を聞いた。
 制作発表で「40%を超えなければ、頭を丸める」と覚悟を口にした石原氏。その演出は直球勝負だった。
 最も象徴的だったのが因縁の紅白で封印を解いた森進一(61)の「おふくろさん」。

森は「歌の力、人の絆。改めて人生の尊いものを胸に深く刻んだ一年でした。これからも一筋に心の歌を歌い続けたいと願っています。作詞・川内康範、作曲・猪俣公章。おふくろさん、お聴きください」と語り、般若の形相で熱唱した。
 石原氏は、「曲についてのメッセージは森さんが考えました。あれほど歌力(うたぢから)のあるおふくろさんは、ないでしょう。バックは真っ黒にした。独りぼっちで歌う森さんをカメラがアップで正面から狙うだけ。それでも、背景にあるストーリーを感じるから演出はいらないんです」とその狙いを明かした。
 後半の“目玉”のひとつだった森の場面は、視聴率が43.6%(関東地区、以下同)。続く和田アキ子(58)が45.2%、大トリの氷川きよし(31)は46.5%とグングン伸びた。そして、紅白初の試みとして全出演歌手を最後に振り返った「ダイジェストVTR」のコーナーで、瞬間最高の50.0%を叩き出している。
 「40%超えについては、台本を見て『イケル』と思いました。理由ですか? 構成がシンプルだったこと。とくに後半は曲紹介のMCと歌唱を繰り返しただけ。曲や歌手にまつわるエピソードを入れたことで、次を聴こう、という気持ちになっていただけたのでは。ここ10年で一番シンプルでした」(石原氏)
 前半で唯一、40%を超えたのは、日本テレビが制作に加わった映画「崖の上のポニョ」の主題歌。歌手別の最高は、フジテレビ系の「クイズ!ヘキサゴンII」から生まれた混成ユニット「羞恥心 with Pabo」の47.8%。同番組司会の中村仁美アナ(29)がフジテレビの目玉マークをプリントしたTシャツで登場するなど、「民放のおいしいとこ盗り」の感もあったが…。
 これには、「ポニョも羞恥心もメロディーが覚えやすく子供からお年をめした方まで口ずさめる国民的ヒットソングに恵まれた」と評した。
 台本になかったアドリブは、白組司会の中居正広(36)が元事務所の先輩で審査員の本木雅弘(43)をイジった場面。
 中居 「シブがき隊の再結成はありそうですか?」
 本木 「それは他の2人に聞いてみないとわからないですね」
 中居 「100%ないかもね?」
 本木 「SOかもね」
 シブがき隊のヒット曲「100%…SOかもね」に引っかけた、ちょっと寒いギャグだが、「中居くんじゃなければできない」と微妙な空気を笑いに変えた。
 さて、今年の紅白は節目の60回。「まだ、のりしろはあると思います。踏ん張れば45%はいくでしょう」と、石原氏は強気だが-。
 【いしはら・しん】 法政大から1981年NHK入局。自身もベースとギターを弾き、長髪とサングラスがトレードマーク。2005年の第56回紅白では目標の視聴率50%超えができず丸刈りにした過去を持つ。

ZAKZAK

当日は盛り上がってるから楽しいけど、後日見ると寒い。